マイルを貯めてファーストクラスに乗ることができました。ビジネスクラスに初めて乗ったときの感動はとても大きなものでした。ファーストクラスに初めて乗ったときは、ある程度の感動はありましたが、インパクトとしては初めてビジネスクラスに乗ったときの方が大きかったでしょうか。エコノミークラスからビジネスクラスへの差の方が大きく感じられたと言うことです。
JAL, ANAのファーストクラスは割引運賃というものがありません。正規料金しか設定がなく、しかもその金額は、JAL, ANAともにヨーロッパ往復だと250万円ほどします。驚くべき値段ですね! 日銀の総裁などの海外主張はファーストクラスだとテレビで言っていましたが…。ちなみに欧米の航空会社の場合、ブリティッシュエアウェイズでは100万円ほど、エールフランスだと170万円ほど、ルフトハンザで156万円ほどでファーストクラスに乗れるので、こちらの運賃の方が普通でJAL, ANAの値段が異常に高すぎる感じがします。これを書きながら気がついたのですが、ブリティッシュエアウェイズのサイトで成田〜ロンドンのファーストクラスの運賃を調べていると、同じページでJALのファーストクラスの航空券の予約もできるように表示されてくるのですが、この場合、JALのファーストクラスの値段が往復170万円で表示されてきます。いずれもワンワールドに加盟している航空会社なので互いに予約が取れるようにしているのだと思うのですが、ブリティッシュエアウェイズのサイトから予約する方が安く予約できるのも不思議な感じです。
僕の頭の中にはマイルを貯めてビジネスクラスを目指そうという意識は強く働いていたのですが、ファーストクラスに乗るということは何故か全く念頭にありませんでした。ある日、友達とマイルでビジネスクラスに乗って…とか話をしていると、その友達が「じゃあ、次はファーストクラスね!」と冗談で言ったのですが、その時初めて、マイルを貯めてファーストクラスに乗れるのかな? という考えが浮かび、調べてみると確かにマイルでファーストクラスの特典航空券がとれることがわかりました。
ANA, JALのマイルだと12万マイルでヨーロッパ往復のファーストクラスの特典航空券になりますし、アメリカン航空の場合14万マイルでヨーロッパ往復のファーストクラスの特典航空券が手に入ることがわかりました。ANA, JALの場合マイルの移行制限がありますので大人二人分24万マイルダイナースから一気に移すことができません。ANAなら年間8万マイルの移行制限があるので3年かかりますし、JALなら年間15万マイルの移行制限があるので2年かかります。アメリカン航空の場合は移行制限がありませんので、28万マイルをダイナースからアメリカン航空のマイレージに一気に移し、アメリカン航空はワンワールドの航空会社なのでJALのファーストクラスの特典航空券が予約できます。この方法で、これまで成田〜ロンドン、成田〜フランクフルトと2回JALのファーストクラスの旅を楽しむことができました。
ファーストクラスに乗った印象としては、確かにビジネスクラスよりも広いし、食事やキャビンアテンダントの待遇もいいし、内容はいいのだけれども、自分のお金で250万円払う価値のあるものには思えませんでした。でもそうやって一般庶民には入ることのできない特別な空間を用意して、富裕層に快適な旅をしてもらうということのために用意されているのかも知れないし、だとすると値段を下げなくてもよいのかもしれません。
広さについて。JALのファーストクラスは、僕が乗った飛行機では前方に9席ありました。左右に3列、前後に3列の9席です。通常、エコノミーなら横に9席並んでいるところが横に3席ですから、隣の席に家内が座っていると距離がありすぎます。互いに身を乗り出せば顔は見えるのですが、離れているので大声でないと会話ができないし、ファーストクラスで大声も出せないので、身振り手振りか、席を離れて近くに行かないと話ができません。出張の一人旅の場合はプライバシーが保たれて具合が良いと思いますが、家族で行くには善し悪しです。
サービスについて。キャビンアテンダント(昔はスチュワーデス)は9人の乗客に対して3人います。つまり3人に一人のキャビンアテンダントがいて、いつも目を配らせていて、手厚いサービスをしていただけます。食事や、アルコールなどもビジネスクラスのものよりもさらに良い物が用意されています。座席は当然フルフラットだし、広いし、気持ちよい薄い羽毛布団のようなものを出してきてくれて、寝るための室内着も出してきてくれてトイレで着替え、極めて快適に眠ることができます。
乗っている乗客について。ファーストクラスに乗ると周りにどんな乗客たちが座っているのだろう? というのも楽しみな疑問でした。芸能人、政治家、国連などの機関の重役、高級官僚、富裕層…などを想像していたのですが、実際に乗ってみると周りに座っているのはどう見ても出張のサラリーマンでほぼファーストクラスの9席が埋まっています。この現実にもがっかりさせられました。では、何故出張のサラリーマンが占めているのか? これらのサラリーマンは仕事で日本〜ヨーロッパを頻回にビジネスクラスに搭乗して行き来していて、マイルがたまりビジネスクラスからファーストクラスにアップグレードしてきたのだと思います。つまり、私たちを含めてほとんど全てのファーストクラスの乗客はマイルで乗っていると思われるような状況でした。こうした人でほとんどを占められていると、ファーストクラスの特別感は若干の幻滅を伴う体験でした。JALの場合経営再建という至上課題がありますので、ファーストクラスの搭乗を厳しくして特別空間を演出するか、マイルを回収して経営に貢献するかという選択肢で、経営の方を選んでいるということだと思います。逆に言うと、こうした状況なのでマイルを貯めてファーストクラスに乗りやすい状況になっているので恩恵を被ることができたともいえます。
空港ラウンジについて。成田のJALのファーストクラスのラウンジに期待して行ったのですが、2回ともたいへんがっかりさせられました。というのも、ビジネスクラスのラウンジの人があふれていて、それらの人がファーストクラスのラウンジに回されてきていて、挙げ句の果てにファーストクラスのラウンジも座るところがなくなっていて、まだビジネスクラスのラウンジの方が席がありますので…ということでビジネスクラスのラウンジにまわされたのです。2回目はファーストクラスのラウンジに入りましたが、人があふれていました。JALが経営破綻していて、上級会員の資格を大量に発行しすぎたり、色々事情があったのだと思いますが、あまりにもお粗末な対応と言えます。金を払って乗った人なら怒るだろうし、二度と乗るもんかと思うでしょうね。対照的に帰路のロンドンヒースロー空港ではJALのファーストクラスのラウンジはなく、ブリティッシュエアウェイズのファーストクラスのラウンジを利用しましたが、こちらはJALのファーストクラスのラウンジとはうってかわって、とても高級感があり、広々としていて、利用者も少なく(ファーストクラスの客だけだとそうなりますよね)、料理やワインなども品揃えがよく、大変満足できるものでした。
ロンドンのヒースロー空港は乗降客も多くとても混雑している飛行場として有名です。ここで降りた場合、入国審査で長蛇の列ができて通過するのにとても時間がかかります。ファーストクラスの乗客にはFast Trackというチケットが渡されて、入国審査の際に他の乗客とは別にFast Trackという列に並ぶことができ、ここはチケットを持った人だけが通れる特別な列で、長蛇の列を横目にさっと入国審査を通過することができます。これはとても気分の良いもので助かりました。
こうやって、ロンドン、フランクフルトと2度ほどJALのファーストクラスに乗ることができましたが、子供まで含めて3人分となるとマイルもたくさん必要になるので、当分は乗ることもないと思います。