日本ではマイルと言えば、ANA, JALのマイルを貯めるということは普及していますが、米国の航空会社、アメリカン航空、デルタ航空、ユナイテッド航空のマイルを貯めるというのはあまり普及していません。また、ダイナースクラブやアメリカンエキスプレスで本気でマイルを貯め始めると、必ずしも日本の航空会社が有利というわけではありません。さて、ANA, JALと何が違うのでしょうか?
《マイルの移行制限》
さて、このホームページではクレジットカードを利用することでマイルを貯めることを検討しているわけですが、ANA, JALにアメリカンエキスプレスやダイナースクラブのポイントを利用してマイルを移行しようとした際に、移行制限という別の障壁が待ち受けています。
まず、ANAですが、普通のダイナースクラブやアメリカンエキスプレスで貯まったポイントをマイルとして移行する際に年間8万マイルまでと言う制限があります。これは、エコノミークラスの利用くらいでしたらいいのですが、夫婦二人でビジネスクラスを利用しようとすると21万マイルとか24万マイルほど移行したいという場合に話になりません。ANAダイナース、ANAアメリカンエキスプレスカードだと移行制限がありませんので有利です。
JALですが、ダイナースクラブはJALへ移行はできないので、アメリカンエキスプレスの場合となるのですが、これも年間15万マイルという制限があります。2年かければ30万マイル移行できるので、なんとか実用にはなるでしょうし、JALカードを利用してJALのマイルを貯めていて、且つアメリカンエキスプレスでも貯めているという方には便利だと思います。
《マイルの有効期限》
最大の違いは、マイルの有効期限です。ANA, JALは3年という有効期限があり、それを超えると失効して無駄になります。
アメリカン航空のAAdvantage、ユナイテッド航空のマイレージプラスの場合確か18ヶ月の有効期限なのですが、マイルの増減があれば(1マイルでも増えるとか減るとかの変化)18ヶ月がリセットされ、その時点から18ヶ月間となります。例えば、国内線でJALに乗ったらアメリカン航空へマイル加算とか、ANAに乗ったらユナイテッド航空に加算とかをすることで有効期限が延びますし、ダイナースクラブやアメリカンエキスプレスのポイントをマイルに移行すれば有効期限が延びますし、アメリカン航空やユナイテッド航空のマイルがたまるクレジットカードを利用するとマイルが増えますので、有効期限は事実上ないと言えるような状態になります。デルタ航空のスカイマイルだと、有効期限はありません。何年もかけて貯めたい人やマイルを無駄にしたくないという人にはもってこいです。
このあたり、ANA, JALの方が利用者がマイルを消失させることを狙っているとしか思えず、せこいわけです。ANA, JALでヨーロッパへ行くためのビジネスクラスの特典航空券を手に入れるのに必要なマイル数は8〜9万マイルで、アメリカン航空の105,000マイル、ユナイテッド航空の120,000マイルよりも少ないマイル数で行けるようにパット目には見えるのですが、3年の有効期限という障壁のためになかなかそこまで貯めることは困難です。それよりは、マイルの有効期限の制限がゆるい方が貯めやすいわけです。
また、セゾンマイレージプラスのクレジットカードだと、100円で1.5マイルの割合でユナイテッド航空のマイレージプラスのマイルが貯まります。ですから、ヨーロッパ行きのビジネス特典航空券を手に入れるのに必要な120,000マイルが、800万円のカード利用で貯まる計算になります。これは、ANA, JALカードで貯めようとしたときの800〜900万円のカード利用が必要であるのと比べて遜色のないことになっています。
《誰の航空券を予約できるか》
日本の航空会社、JAL, ANAの場合マイルを使って特典航空券を予約する場合、本人ないしその家族の航空券しか予約できません。しかし、米国の航空会社、ユナイテッド航空、アメリカン航空などでは他人の航空券でも予約・発券することができます。このあたりの自由度も大きく違っていて、米国の航空会社の方が利便性が高いと言えます。
《マイルを譲渡する、買う、シェアする》
米国の航空会社のマイレージサービスでは、マイルを買う、人にあげるということができます。しかし、買う場合にそれほど安くはないし、人にあげる際にも手数料をある程度取られるので、それほどお得ではありません。しかし、マイルが失効するよりはお得です。例えば、妻が持っているユナイテッド航空のマイルがまもなく失効するという場合、夫のユナイテッド航空のアカウントに移行させるとマイルの消失からまぬがれますし、手数料を払うとはいえ、失効するよりもお得なので便利ではあります。
マイルのシェアに関しては、米国の航空会社のマイレージサービスでは手数料を払って譲渡する形しかないのですが、ANA, JALの場合、家族でマイルを合算して利用できるサービスがありますので、この点に関してはANA, JALの方が優れていると思います。
《ANA, JALに乗ったマイルを米国の航空会社のマイルへ貯める》
上述したことの繰り返しになりますが、わかりにくい方がおられるかも知れないのでもう一度確認のために書いておきます。ユナイテッド航空とかアメリカン航空とかのマイルを貯め始めると、ANA, JALに乗った場合のマイルが無駄になるのではないかと思われる方がおられるかも知れません。実は、そうではないのです。航空会社にはスターアライアンス、ワンワールド、スカイチームなどの複数の航空会社で構成されているグループがあります。そして、ANAはスターアライアンスに加盟しているので、ユナイテッド航空と同じグループに属しています。すると、同じグループ同士の航空会社は搭乗マイルを加算できるようになっています。ですからANAに搭乗した場合、ユナイテッド航空のマイルとして加算できますし、逆にユナイテッド航空に搭乗した場合、ANAに加算することもできます。しかし、一旦マイルとして加算された後のマイルは他社に移行することはできません。選べるのは搭乗の際だけです。また、JALはワンワールドという系列に加盟していて、アメリカン航空と同じグループです。ですから、JALに搭乗した際にはアメリカン航空のマイルとして加算することもできます。こういう仕組みがありますので、国内線の飛行機に乗っても米国の航空会社のマイルとして有効利用ができます。マイルの変更を申し出るのは、搭乗前に航空会社のカウンターに出向いてANAでしたら「ユナイテッド航空のマイルに加算してください」、JALでしたら「アメリカン航空のマイルに加算してください」と申し出ます。同時にマイレージ会員の番号を伝えればOKです。